2017年2月鑑賞映画メモ(新作8作品)

①『グリーンルーム』(2/11)

ひたすら真面目な『フロム・ダスク・ティル・ドーン』チックな映画だな…と
ちょっとだけ思った。途中まではもの凄くドキドキしながら観ていたんだけど、
敵のネオナチの数がやたら多い上に頭悪すぎなもんだから(だからネオナチ?)
後半の展開は一転安心しながら観てしまい、けっきょくカタルシスは今一つ…。
最近の自分の傾向なんだけどこういうテイストであまりに人がポコポコ死ぬと
逆にリアリティを感じず遠目になってしまうんだよな。グロにも厭きてきたし。
映像が凝ってるワリには悪夢感も稀薄で自分ももう歳なんだろうか?(歳です)
愉しみにしていただけに少し残念。そしてアントン・イェルチンは本当に無念。


ホント残酷映画にも厭きてきました。

『グリーンルーム』(2015年・アメリカ/カラー/シネスコ/DCP/95分)
【監督】ジェレミー・ソルニエ(『ブルー・リベンジ』)
【出演】アントン・イェルチン、イモージェン・プーツ、パトリック・スチュワート、カラム・ターナー、メイコン・ブレア、ジョー・コール、アリア・ショウカット
【配給】トランスフォーマー
【5段階評価】★★★☆☆
【鑑賞劇場】新宿シネマカリテ
【鑑賞料金】1,500円(クーポン割引)

******************************************************************************************

②『海は燃えている~イタリア最南端の小さな島~』(2/12)

距離的にはチュニジアよりもイタリアに近く移民や難民の玄関口となっている
小さな島を舞台にした昨年のベルリン国際映画祭、最高賞のドキュメンタリー。
難民たちの苦境と島民の平穏な暮らしという一見相容れない二極を描きながら
それを異世界同士の対峙とはしない作風に世界の“境目”について考えさせられ、
差別や分断を煽る声に社会が押し流されがちな今、本作の何をも声高に叫ばぬ
落ち着き払った姿勢には、そんな風潮への静かな抵抗を感じて頼もしいばかり。
社会派色より叙情性が胸を打つ完璧な構図や吸い込まれるような映像美も凄い
まさしく今観るべき傑作! 寝不足だったけど観ている内にどんどん覚醒した。


残酷映画より世界はもっと残酷だ…。

『海は燃えている~イタリア最南端の小さな島~』(2016年・イタリア=フランス/カラー/114分)
【監督】ジャンフランコ・ロージ(『ローマ環状線、めぐりゆく人生たち』)
【配給】ビターズ・エンド
【5段階評価】★★★★☆
【鑑賞劇場】ル・シネマ(渋谷)
【鑑賞料金】1,100円(日曜日最終回割引)

******************************************************************************************

③『サバイバルファミリー』(2/16)

酷いなこれは。前作が快作だっただけに矢口史靖復活かと思い期待したけど…。
あの未曾有の震災からもうすぐ6年という時期にこんな呑気な映画が創られる、
この国の情けなさ。「諷刺はなしの最後は家族愛で!」と釘でも刺されたのか、
話はひたすらつまらず適当にゴミを散らかし適当なサバイバルネタを散りばめ
後はなんの装備もなくキャンプに出かけた家族が農家体験してハイ、おしまい。
もう何が赦せないといってコメディを逃げ道にしているところがホント最悪!
最初はこの設定でゾンビや未知のウィルスに頼らないのがいいと思ってたけど
こんなならゾンビが出てきて一家が喰われてハイ終わりの方が面白かったよ!


今こういうネタで映画を創るのなら
何かもっと訴えることがあるだろ!

『サバイバルファミリー』(2017年・日本/カラー/117分)
【監督】矢口史靖(『裸足のピクニック』『ひみつの花園』『アドレナリン・ドライブ』『ウォーターボーイズ』『スウィングガールズ』『歌謡曲だよ、人生は』『ハッピーフライト』『WOOD JOB!(ウッジョブ)~神去なあなあ日常~』)
【出演】小日向文世、泉澤祐希、葵わかな、深津絵里、時任三郎、藤原紀香、大野拓朗、志尊淳、渡辺えり、宅麻伸、柄本明、大地康雄、菅原大吉、徳井優、桂雀々、森下能幸、田中要次、有福正志、左時枝、ミッキー・カーチス
【配給】東宝
【5段階評価】★☆☆☆☆
【鑑賞劇場】ユナイテッド・シネマとしまえん(豊島園)
【鑑賞料金】ポイント鑑賞

******************************************************************************************

④『サクロモンテの丘~ロマの洞窟フランメンコ~』(2/18)

ショーアップされたステレオタイプなフラメンコのイメージがガラリと変わり
カルロス・サウラよりトニー・ガトリフが観たくなる秀作ドキュメンタリー!
スペインはアンダルシア地方のサクロモンテがフラメンコの聖地であるという
事実のほか、その成立にイスラームの文化が影響しているなんて初めて知った。
老若男女関係ないロマの生活や人生観に根差した歌詞の数々も面白く、中でも、
「信仰さえも君への愛のために質に入れた」という一節には心からシビレた!
こんな敬虔さと愛と生活苦を同時に感じさせる歌詞は今まで聴いたことない!
世界は広く、歴史は深く、文化は豊かであると実感できる旅に出たくなる1本だ


一つ部屋に集いし人々が順に踊る構成も◎。

『サクロモンテの丘~ロマの洞窟フラメンコ』(2014年・スペイン/カラー/16:9/ステレオ/94分)
【監督】チュス・グティエレス
【出演】クーロ・アルバイシン、ラ・モナ、ライムンド・エレディア、ラ・ポロナ、マノレーテ、ペペ・アビチュエラ、マリキージャ、クキ、ハイメ・エル・パロン、フアン・アンドレス・マジャ、チョンチ・エレディア
【配給】アップリンク
【5段階評価】★★★★☆
【鑑賞劇場】有楽町スバル座
【鑑賞料金】1,400円(劇場鑑賞券)

******************************************************************************************

⑤『SYNCHRONIZER』(2/19)

偉い!何が偉いって最後キレイなおっぱい出してたあの若い女優さんが偉い!
いやぁー面白いといったら予測不能かつ大胆な展開で充分面白かったんだけど
それ以上にそこはかとない低予算映画の悲しみというか、こういう映画はもう、
自主製作でしか創られえないという日本映画の現実(?)に胸をしめつけられた。
むしろ監督がもっと若くて借金してでもこういう映画が撮りたかった!という
情熱でも感じられたなら印象もまた違ったんだろうけどそういうワケではなく
無難に隅々まで巧いから逆に物足りないという…。いや充分面白かったけど!
だからいっそ共同脚本だけでなく、『みちていく』の監督に撮ってほしかった。


頑張ってるけど如何せん安っぽいというか。

『SYNCHRONIZER』(2015年・日本/カラー/アメリカン・ビスタ/83分)
【監督】万田邦敏(『Unloved』『ありがとう』『接吻』)
【出演】万田祐介、宮本なつ、古川博巳、中原翔子、大塚怜央奈、美谷和枝
【配給】SYNCHRONIZER
【5段階評価】★★★☆☆
【鑑賞劇場】ユーロスペース(渋谷)
【鑑賞料金】1,200円(会員)

******************************************************************************************

⑥『エリザのために』(2/21)

ルーマニアの絶望感が凄い…。少し前にTVで、ルーマニアが五輪で輝いていた
ナディア・コマネチの時代を目指そうにも優秀なコーチがみないい給料を求め
海外に出て行ってしまうという話をやっていたが、本作でそれがよくわかった。
でも…好きなんだよな。ルーマニアや隣のブルガリアのどんよりした雰囲気が。
解説を読んでいろいろとスッキリしない苦手なタイプの映画かと思っていたら
緻密な構成の会話劇と仄かなサスペンスの風味で、ラストまで面白く観られた。
娘のためなら不正も厭わぬお父さんの愛人役のマリナ・マノヴィッチが素敵!
彼の国の暗部とともに人間心理の“グラデーション(英題)”部分を描いた傑作だ。


モヤモヤさせつつラストには微かな希望も。

『エリザのために』(2016年・ルーマニア=フランス=ベルギー/カラー/128分)
【監督】クリスティアン・ムンジウ(『4ヶ月、3週と2日』『汚れなき祈り』)
【出演】アドリアン・ティティエニ、マリア・ドラグシ、リア・ブグナル、マリナ・マノヴィッチ、ヴラド・イヴァノフ
【配給】ファインフィルムズ
【5段階評価】★★★★☆
【鑑賞劇場】新宿シネマカリテ
【鑑賞料金】1,500円(クーポン割引)

******************************************************************************************

⑦『百日告別』(2/25)

素晴らしい。やられた。と言っても別にどんでん返しな展開があるワケじゃなく
ともに最愛の人を交通事故で亡くしたある男女の心の機微を丁寧に描いてゆく
ただそれだけの話なんだけど、それが法要本来の意味とともに語られ実に巧い。
当然だが、法要も形だけでは無意味という戒めがドラマに説得力を与えている。
とは言っても別に宗教行事を大切にしましょうなんて説教じみた映画ではなく
これはきっと“死は生に内包されている”というアジア的な死生観に基づく物語。
だいたい2人が出逢って恋をするとかいうありがちな話じゃないところが素敵。
台湾、そして台湾映画は本当に“大人”だとあらためて感じさせてくれる秀作だ。


まるで油断していたため最後は涙ポロポロ。

『百日告別』(2015年・台湾/カラー/95分)
【監督】トム・リン(『九月に降る風』)
【出演】カリーナ・ラム、シー・チンハン、チャン・シューハオ、リー・チエンナ、ツァイ・ガンユエン、アリス・クー、マー・ジーシアン
【配給】パンドラ
【5段階評価】★★★★☆
【鑑賞劇場】ユーロスペース(渋谷)
【鑑賞料金】1,200円(会員)

******************************************************************************************

⑧『トリプルX:再起動』(2/26)

す、凄い…。なんか勢いだけでめちゃくちゃだけどめちゃくちゃ面白かった!!
それにドニー・イェンが出ているといってもどれほどのものかと思っていたら
まるでヴィン・ディーゼルとのバディ・ムービーみたくなっているじゃない!
トニー・ジャーもいっぱい出てくるし『オーム・シャンティ・オーム』の美女
ディーピカー・パードゥコーンは華と色気ムンムンだしアジア色濃厚で最高!
ちょっと味が濃すぎ&猥雑すぎてワイスピのような人気とはならないだろうが、
個人的にはコッチの方が好き! こんな再起動なら大歓迎! ぜひ、新作創って!
とにかく、これだけ面白ければいい加減な脚本も演出も全然問題なし!満足!


こんなハリウッド映画を観る日が来るとは。

『トリプルX:再起動』(2017年・アメリカ/カラー/107分)
【監督】D・J・カルーソー(『テイキング・ライブス』『ディスタービア』『イーグル・アイ』)
【出演】ヴィン・ディーゼル、ドニー・イェン、ディーピカー・パードゥコーン、クリス・ウー、ルビー・ローズ、トニー・ジャー、ニーナ・ドブレフ、ロリー・マッキャン、トニ・コレット、サミュエル・L・ジャクソン、ネイマール
【配給】東和ピクチャーズ
【5段階評価】★★★★☆
【鑑賞劇場】ユナイテッド・シネマとしまえん(豊島園)
【鑑賞料金】1,300円(レイトショー割引)